それでも、僕はこの道を選んだ。

多様な価値観を認めよう、そして自分の価値観を軸に生きていこう

薬剤師から鍼灸師へ⑨〜人の成長に欠かせないもの〜

それは
”人の厳しさと人の温かさ”の両方なのだ、
と僕は思います。

 

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前回までの記事の続きになります。
・田舎では薬がないという前提に立つ。
・薬がない中で出来る事はないか。
・田舎と都会の薬局の現場は違う。
・都会と同じような医療の必要性ない。
そんな事を考えながらも、
多くの一般の方と話すことで、
・シンプルに人の悩みに答えたい。
・薬剤師は病気に無知である。
・まずは一歩踏み出してみる。
・いずれ田舎に戻りたい。
と思うようになりました。

 

前回の記事にて、
”小さな田舎町で医療を続けてみたい”
という思いは当時から僕は持っていた、
と書きました。
どうしてこういう思いがあったのか?

それは、
 ・田舎町の人に僕は薬剤師としても
  人間的にも社会人としても
  育てていただいたから。
だと僕は思います。
もちろんまだまだ未熟なのは、
十分ご承知なんですが・・・。

 

以前こんな記事を僕は書きました。
僕が社会人として全く責任感がなく、
薬剤師としても未熟だった時の話です。

 

皆さんは薬の包装デザインが、
意外と似ている事をご存知でしょうか。
その包装デザインだけで薬をチェックして、
薬の名前をしっかり確認しないと、
薬の渡し間違えの基になる事が
僕らの仕事では多々ある事なのです。

 

当時僕はその名前の確認を怠っていました。
そのせいで咳止めの薬を間違えて、
全く別の薬を渡してしまいました。
包装デザインが似てた事で、
僕は薬の名前の確認を怠ったのです。

 

その時の上司が、
「お前これを間違ったら人殺しだぞ」
と僕を強く叱りつけてくれました。
自分で間違えていたのはわかっていたけれど、
その言葉にあまりにショックで薬を触る事すら
恐ろしくなった時期がありました。

 

今考えるとその時の上司は
僕をこらしめたい、
僕にミスの重大さ知らしめたい、
僕のミスを責めたい、
僕に全責任を負わせたい、
などと思っていたわけではないのです。
”そういう状況と隣り合わせの仕事”
なんだよ、と伝えたかったのだと思います。

 

間違って患者さんの手に渡った薬は
幸いにも服用はしていなかった事が発覚し、
すぐに患者様に謝罪しに伺いに行けました。
その時、僕は
上司にもあれだけ怒られたんだしな〜
きっと患者さまからもきっと・・・
と間違った自分の事を棚に上げて、
僕は無責任な気持ちでいました。

 

ところが、
患者様のお宅にお伺いしたところ、
「こんな遠くまで本当に申し訳ないね。
わたしももらう時に確認しなくて・・。
本当にごめんなさいね。」
と言っていただいたのです。

 

その言葉を聞いた時、
僕は自分の仕事の無責任さ
を本当に情けなく感じた事を
今でも鮮明に覚えています。

こういう自分を情けなく感じた、
と同時に、
この町の人の心の温かさ
みたいなものを感じました。

 

この話は田舎に限った事

ではないとは思います。
都会で同じ状況があったら、
都会に戻りたいな、
ときっと思ったはずです。

 

いずれにしても、
僕がもっと成長しようと決断するために、
”人の厳しさと人の温かさ”
の両方を田舎の方々にいただきました。
ですので、
今度はもっと成長した自分が
育ててくれた田舎町に、
田舎町の人々に恩返ししたいな、
と思うようになりました。
そのために、
もう一度一から努力しよう、
と思ったのです。

 

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【薬剤師から鍼灸師へ③~お話ししか出来ない専門家~】
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